地域政策の評価の主役を養成するNPO

熊田禎宣 (千葉商科大学)*
劉継生 (創価大学) 
木谷忍 (東北大学)

 Abstract
政 策評価への主体的な市民参加こそ政策過程への源流参画を実現するために不可
欠である。政策評価に対する参加は、現在時点において、運用されている政策体系の
評価を行い、さらに、これから採用し運用すべき政策体系の評価に結びつける未来社
会に向けた価値体系を創造して共有し、望ましい未来社会のあり方の枠組みのイメー
ジを公共選択のゴールとして、すなわち、地域社会のヴィジョンとして、描き出して
共有する、という作業を内包している。ゴールとなる未来社会のヴィジョンを共有す
ることによって、異なったライフ・スタイルを持ち、異なった選考を行う人々が望ま
しい未来の社会を招きよせるための協働活動を組織だて、その中における自己の役割
を主体的に設定できるのだ。これからの未来社会づくりにふさわしいヴィジョンを創
造し、共有していくプロセスに主役として、参画することは、そのプロセスをデザイ
ンし、参加主体の相互学習過程を組織立てる作業から手がけることを意味する。
このような作業は、地域社会づくりの全体をひとつのドラマと例え、観劇者、出演
者、製作者の三つの役割を設定すると、最も高度な知的作業をしなければならない製
作者の行う作業にあたる。換言すれば製作者として、地域社会の未来づくりのドラマ
に参画する市民なしには、市民が主役となる市民社会は実現しない。この論文はこの
プロデューサー役をこなせる市民を育成できる学習道場となるNPOを設計する考え
方について論じている。