産業廃棄物の効率的な処理システムと最適課税

福山 博文,九州大学大学院経済学府博士後期課程
内藤 徹,九州共立大学経済学部

       
本稿の目的は,産業廃棄物の効率的な処理システムの設計とそれを誘導するような課税政策とはいかなるものかということを分析することである.本稿が想定する経済モデルは,2地域モデルであり,それぞれの地域に企業(排出事業者),廃棄物処理業者,そして地方自治体が存在する.
企業は廃棄物を排出しそれを廃棄物処理業者に引き取ってもらうか,リサイクル資源として再利用するかの選択を行う.また,廃棄物処理業者はそれを最終処分場(埋め立て処分場)まで輸送するが,その際,自地域の地方自治体に処理費用を支払わなければならない.もし,自地域の処理費用が高く限界的な輸送費用が低いならば,他地域の最終処分場に輸送するインセンティヴをもつ.また,不法投棄に対するペナルティーが低ければ,廃棄物処理業者は不法投棄を行う.地方自治体は,社会的に最適な廃棄物処理業者の処理方法と企業のリサイクル率を誘導するように課税政策を行う.