筑波大学 鄭 美
筑波大学 氷鉋揚四郎
図們江流域は中国、北朝鮮、ロシアの三国が国境を接しているデルタ地域という地形的優
位性により北東アジア諸国及び世界各国から注目を浴びている。UNDPの協力の下に進行中
の図們江地区開発プロジェクトによりこの地域の経済は急速な成長ぶりをみせている一方、
様々な環境問題も進んでいる。特に国境河川で る図們江の水質汚染が深刻になりつつ り、
周辺地域の経済政策及び環境保全に重大な影響を与えている。
本研究では、対象地域で る図們江地区に下水処理場がなく、各河川に放出された排水
がそのまま図們江に流れ込んでいく現状に着目して、限られた財源の下で、排水処理設備の
最適配置及び経済への影響を考慮して汚濁物質の最適削減率を計測する。その結果を基に
図們江水質改善のための環境政策を提言することを目的としている。
研究に当っては、対象地域を八つのゾーンに分けて各ゾーン別に発生する汚濁負荷量を
生活系、面源系、産業系に分類し、これが社会経済活動によって発生する基本モデルを作成
する。基本モデルは線形計画モデルとし、この地域のGDPの安定成長といった制約条件の下
で、COD、リンの汚濁負荷量の最小化を行う。最終的にはこの基本ケースに基づいて政策モ
デルによるシミュレーションを行う。