「地方都市中心部における休日の駐車場選択行動の分析と駐車場案内システムの効果」

近畿大学工業高等専門学校 中平 恭之※
豊橋技術科学大学 廣畠 康裕

近年、自動車交通の増大に伴い、都市中心部への駐車需要の集中や違法路上駐車などによる深刻な駐車問
題が顕在化している。これらの駐車問題のみならず道路交通問題の解決を目的として、ITS(Intelligent
Transport Systems:高度道路交通システム)に関する研究・開発が進められ、諸問題の解決に大きく貢献
するものと期待されている。その中において、多くの都市中心部では新たなITSの取り組みとして駐車場案
内システムが導入され、効率的な駐車場運用だけではなく中心部の活性化にも寄与するものとしてその効果
が期待されている。
そこで、本研究では、既に駐車場案内システムが導入されている愛知県豊橋市中心部の休日来街ドライバ
ーを対象として行った駐車実態アンケート調査に基づき、情報提供下でのドライバーの駐車場選択・変更行
動を分析するとともに、情報価値の計測を行うことを通じて、駐車場案内システムによる効果を把握・分析
することを試みる。
情報提供システムを効果的に機能させるためには、提供された情報の影響度を明らかにする必要が る。
情報提供がドライバーの駐車場選択・変更行動に与える影響として本研究では長期的効果と即時的効果の二
つの効果を想定する。前者は繰り返し的な情報視認によって駐車場選択行動に及ぼす影響で る。一方、後
者は満空状況に関する情報提供が駐車場変更行動に及ぼす影響で る。さらに、即時的効果には情報価値が
存在するものと考える。情報がもたらされた効用の増分を情報価値と仮定することで情報の価値の定義を試
みる。