地域ITシステム整備における効用最大化問題適用に関する研究

梶井善徳、加賀屋誠一、内田賢悦、中山義光、 (以上 北海道大学大学院工
学研究科)

本研究は地域ITシステム整備における事業コストの分担方法を、効用最大化問題の
適用により明らかにしたものである。地域ITシステム
として、都市地域に比較して収益性が低く事業化において不利と考えられる地域にお
いて、高速度の情報の伝達が可能な光ファイバ網の
整備を想定する。対象地域として河川流域にダークファイバの存在する北海道十勝川
流域地域を対象とする。対象地域における光ファイバ
網整備事業を行う事業主体が、民間事業者の共同出資により設立されると想定する。
ここで光ファイバ網の実現により利益を受けると想定
される事業者として選定する。事業主体は利用者からの利用料に加え、自治体から毎
年一定額の補助金を受け一定の事業期間において
光ファイバ網の整備を行うと想定する。この事業スキームにおいて出資する2つの民間
企業と自治体について効用関数を定式化し、各主体
の効用関数の乗数を全体効用とする。全体効用が最大となるときの最適なコスト分担
量を、G.A.(遺伝的アルゴリズム)を用いた最適化によ
り算出する。算出されたコスト分担量を適用することにより、複数の事業者が参加す
る想定した事業スキームにおいて、適切なコスト分担の
もとで事業が行われることを示す。