北海道における廃棄物勘定の試算

山本 充,小樽商科大学

環境・経済統合勘定は,1国あるいは特定地域の経済活動と,環境負荷や自然環境の状態等との関係を総合的に表す国民経済
計算のサテライト勘定である。また,個別の環境問題の解決や政策評価等のために環境・経済統合勘定を分割・表示して,統
合勘定表よりも詳細に表現しようとするものとして,環境保護支出勘定や廃棄物勘定がある。これらは,環境・経済統合勘
定のサテライト勘定あるいはサブ勘定とみなすことができる。
本稿では,北海道を対象地域として,循環型社会を目指した地域の廃棄物問題の解決に資するため,環境・経済統合勘定を
分割・表示した廃棄物勘定の試算を行った。その結果,北海道においては廃棄物処理に係る帰属環境費用は702億14百万
円,産業による廃棄物処理サービスの産出が532億22百万円,政府による廃棄物処理サービスの産出が466億95百万円,リ
サイクル財の産出が143億4百万円であることが明らかになった。しかしながら,環境・経済統合勘定の枠組みを基本とした
廃棄物勘定では,廃棄物の発生抑制,使用済み製品・部品の再使用,原材料としてのリサイクルといった総合的な廃棄物・
リサイクル対策に対応するには不十分であり,改良が必要であることも明白となった。