「公益事業としての有料道路ネットワークにおける最適料金政策」

藤岡明房 (敬愛大学)

要約
 有料道路事業は公益事業で るため、料金の設定については政府による規制を受ける。
もし道路ネットワークの構造が単純で れば、料金設定の効果を予想することは困難では
ない。しかし、道路のネットワーク構造が複雑になると、料金設定の効果を予想すること
は困難になる。そこで、道路のネットワーク構造が複雑になった場合でも、料金設定の効
果を予測できるような手法が求められる。そのような手法の1つが、「グラフ理論」で る。
しかし、従来のグラフ理論では価格や料金の取り扱い方が不十分で った。その理由は、
交通の費用の側面は明示的に示すことができても、交通の需要の側面は無視されていたか
らで る。すでに、拙稿の別の論文で需要の側面を明示的に取り入れた場合の分析手法を
示した。
今回は、政府による料金の設定に関する規制が設けられた場合の最適料金の決定方法に
ついて検討する。たとえば、収支均衡条件が設けられた場合の最適料金設定を求めること
で る。ただし、注意しなければならないことは、道路のネットワーク構造が与えられて
いるため、各経路での料金が異なってくることで る。逆に言えば、 る経路での料金を
変更すると、その経路での交通量が変化するだけでなく、他の経路での交通量も変化して
しまい、結果的に他の経路での料金も変化することになる。したがって、複数の経路から
構成されるネットワークにおいては、料金の設定は同時決定されなければならないことに
なる。