時空間プリズムを用いた車両共同利用の輸送効率分析
 

足達健夫:専修大学北海道短期大学
加賀屋誠一:北海道大学大学院

 車両共同システムは、自動車台数を抑制することにより、混雑および環境負荷の緩和に効果があるものとして期待されている。自動車の共同利用形態には以下の2通りがある。
(i) 複数の人が1台の自動車を交互に使う
(ii) 複数の人が1台の自動車を同時に使う
 前者は自動車の稼働率という点で有効である。それに対して後者は自動車の乗車人数増加という点で有効である。しかし現在考えられているシステムの多くは?の視点で構成されており、たとえばある特定の時間帯(朝のピーク時など)における交通渋滞解消の手段には向かない。同じ時間帯に自動車で移動する場合、車両の絶対数減少のためには?の視点が重要になる。本研究では、同じ時間帯に出発できる同地区に居住する住民が、1台の車を利用する形態を採用した。問題は乗車する各利用者が、普段どおりの時刻にその目的地に到着するためには、どの住民と相乗りして出発するのがのぞましいかである。この「相乗り可能性」を検証するために、時空間プリズムを用いたのが本研究の特徴である。ある個人の通勤交通に関する時空間プリズム内に、他の利用者の目的地・到着時間が含まれるかどうかで、相乗り可能かどうかを検証した。
 相乗りの結果、同じ台数の車でより多くの人員を輸送できることになるが、その効果を輸送効率として算出した。この共同利用形態の特性上、輸送効率を上げるためには、運転をする第1利用者が通常よりも早く出発しなければならなくなるが、その時間的ロスと輸送効率変化との関係を求めたのが本研究の成果である。