都心交通ビジョン情報提供が市民認識の変化に与える影響評価
 

加賀屋誠一(北海道大学大学院工学研究科)
内田賢悦(北海道大学大学院工学研究科)
足達健夫(専修大学北海道短期大学)

 近年、多くの都市において、都心交通混雑、および都心地域の商業機能の衰退
などの都心問題が顕在化している。それに対して、都心部の交通状態の改善や
活性化プログラムによる再生事業も現れ始めてきている。ここでは、その1例
として、札幌市における都心交通ビジョンを取り上げ、それが、市民にどのよ
うにとらえられ、また情報がいかに市民のビジョンに関わる認識に変化をもた
らしたかについて、調査結果について検討するもので る。具体的なビジョン
としては、交通需要マネジメント(TDM)の1つとして都心部のトランジットモー
ル化と一般自動車の規制を中心とした歩行者優先施策で り、今までの都心部
状況に比べ、かなりドラスティックな考え方の導入で る。したがって、市民
の中には、それらの施策に賛成・反対のグループが存在しており、様々な議論
が起こっている。その影響評価の方法として、本研究では、いくつかの代替案
を数個の要因とその水準によって設定し、それを直接評価してもらい、どの要
因が施策の決定に影響を与えているかを把握する方法で るコンジョイント方
を用い、さらに、時間経過に伴う情報の認知によるそれらの要因に対する考え
方の変化についてパネル分析によって検討した。その結果、情報提供によるビ
ジョン認識の状態の変化について明らかになった。しかしながら、今回の分析
では、情報の伝達が全ての市民に行き届いているわけではなく、今後的確な情
報の提供がより必要なことも明らかとなった。