韓国における流域管理システムの研究
Research of the basin control system in Korea
本研究は韓国ソウル圏約2000万人の重要水源である八堂湖を中心とする水環境の管理方案を水質汚染側面から水資源保全や水質管理対策、または改善方案などを考察することにその目的がある。急速な経済発展において環境問題は忘れ去られがちなものであった。その結果、最近では大気汚染、水質低下など環境問題は社会的に大きな反響を呼んだ。八堂湖の場合も例外ではなく、適切な改善策が要求される状況である。現在まで関連研究は国内と外国との事例の比較や分析、または流域住民の環境に対する意識調査程度に止まったのである。従って、社会経済活動を流域全体に渡って制御と分析、そして評価を試みる本研究の目的は時期的に適切であると思う。
湖沼の富栄養化の原因となる汚濁物質である窒素、リン、CODは流域の社会活動によって排出される。これらの汚濁物質が河川を通して湖沼に流入し、それらを栄養源とする藍藻類などが大量発生することにより、かび臭の発生や養殖魚の大量死、水質の悪化等の悪影響を及ぼしている。
韓国の湖沼の場合、面積に比べて流入面積が広く、湖沼の形態も幅より長さある河川型の湖沼が多い。また平均水深が浅く、滞留時間が長いため、湖沼に流入する栄養塩類の量が多くて富栄養化の発生など汚濁されやすい構造的特性を持っている。このような状況では、流域の生活排水や産業活動により発生した汚濁物質が処理されないまま流入すると、水質の悪化は顕著に現れる。河川や湖沼の自然浄化レベルを超える量の汚濁物質が次から次へと流入するため、水質の改善はなかなか進まない。さらに水質には現在までに湖底に蓄積された汚泥の溶出、汚濁物質の沈降などが影響を与えるため、水質改善には汚泥の浚渫などの作業も必要である。しかし、水質改善の第一歩は人為的に排出される汚濁物質を減少し、制御することから始まると思う。
本研究では、八堂湖に流入する汚濁物質に対し、流域内の社会経済活動を低下させずに達成可能な流入総量を設定することを目的とする。社会経済活動による汚濁物質の増加とそれらを除去、消滅するための政策、そして社会経済活動の指標としてのGDPの推移を計測する。流入汚濁負荷の総量目標値は、規制の緩やかな産業中心型から規制の厳しい環境重視型まで設定する。シミュレーションにおいて流域周辺の市、郡の財政や、産業構造から達成可能な目標規制値を導き出し、その場合の生活排水処理別人口、土地利用面積、産業別生産額、GDP、補助金などの各種データを提示する。これにより八堂湖の流域全体の総合的な環境政策の提案を試みる。
The purpose of this research is to study the management of the environmental condition of water and to suggest for the improvement of the environment. It appears that the environmental problem had been completely neglected in the face of rapid economic development.
As a result, recently, the environmental problem such as air pollution, deterioration of water quality have attracted immense social attention. The case of the Paldang lake located near Seoul is not an exception. Hence, adoption of appropriate measures to improve the condition of the environment is demanded.
Up till now, research in this field was limited to carrying out surveys on the level of consciousness of residents of the basin area regarding the environment and comparing cases of different areas with in the country or with other foreign counties. Therefore, in this research, I wish to cover the factors of socio-economic activities in the basin area as a whole and analyze the data to control environmental pollution. Moreover, the purpose of this research is to discover other ways to improve the environment, keeping the future in mind.