地域経済の成長格差に関する一考察

 

 

れまで地域の成長格差に関する興味深い論点は2つに分けて考えられる。第1に、地

域経済水準の格差が何に起因するのかという問題であり、第2に、国民経済を構成する諸

地域の経済的格差は拡大するのかそれとも縮小するのか、また、それにはなんらかの法則

性があるのか、という問題である。

本研究の目的は、日本における地域経済と収束性に関する議論を踏まえた上で、日本で

は大都市圏と地方圏の空間構造パターンがかなり違うことに着目し、地域経済の成長格差

が何に起因し、地域経済の成長格差のパターンはどのように変化しているかについて実証

することである。ちなみに、分析結果を踏まえて、日本を対象とし、Williamsonの「逆U

字型仮説」を拡張させたAmosの「発展された逆U字型パターン」の議論について解釈を

行う。本研究のでは、1975年から1993年までの都道府県データを大都市圏と地方圏に分

類し、Crihfield(1995)のモデルを基にした本研究のモデルを用いて分析を行う。

分析結果を基にした結論は次のように導き出される。

 第1に、大都市圏では本研究のモデルが統計的に当てはまらなったが、地方圏では統計

的に当てはまっている。この理由は、就職者一人当たり生産の地域間格差の変動が大都市

圏と地方圏で異なるパターンをもってからである。

 第2に、統計的有意性が高い地域圏の場合、地域成長格差の要因として民間資本、人的

資本、公共資本を前提とする際に、民間資本と人的資本は成長格差を拡大する変数として

役割しているが、公共資本は地域の成長格差を抑える役割を持っていることが明かである。

第3に、日本における「発展された逆U字型パターン」が顕著に現れているのは、雇用

者所得の地域間格差が大都市圏では拡大し、地域圏では縮小する傾向の影響であると思わ

れる。

 

Growth Differential of Regional Economy

 

The purpose of this study is to examine growth differential of regional economy in

a point of view to differ the growth pattern of the metropolis area from the regional

area in Japan. Therefore, the analysis model using in this paper can investigate effect

of factor to be caused growth differential and speed of convergence in growth

differential.