近年、地方分権の受け皿として市町村合併が推進されているにもかかわらず、実際
には合併がほとんど進んでいない。本稿では、この原因が現行の補助金制度にあるの
ではないかと考えて分析を行った。その理由は、補助金が市町村にとって住民に負担
を必要としない収入であることから、もしも合併によって補助金が減少すれば、市町
村が合併を思いとどまるのではないかと考えたからである。具体的には、まず、全国
の市町村のクロスセクション・データから基準財政需要額、基準財政収入額および国
庫支出金について回帰分析を行い、その推計結果をもとに一人当たり補助金の決定要
因について検討した。特に、人口規模と一人当たり補助金の関係から、町村が合併を
行うと補助金が減少し、その上、町村から市制を敷くとさらに補助金が減少すること
が分かった。市全体の85%以上を占める人口20万5千人以下の市においても、合併
を行うと補助金が減少することが分かった。
The purpose of this study is to investigate an incentive for the merger of
local municipalities (city, town and village) in view of the
intergovernmental subsidy policy. The central issue in our study is the
relation between population and the per capita subsidy. The empirical
results are, first, when a town and village merges, the subsidy in total
decrease. Second, when a town and village combine to form a city, the
subsidy drastically decreases. Third, the estimated subsidy function
decreases, as the population grows, and then gradually increases. Over 85%
of the all city are positioned around the convex of the graph.