電気通信需要モデルのための通話発生過程の考察と通話行動モデルの構築
電話通信需要については, 経済学的, 地理学的なさまざまなモデルの構築が試
みられてきた. しかしながら, トラフィックの発生パターンに注目した地理学
的な研究と発生する需要全体に注目する経済学的な研究ではそれぞれに理論・
モデルを開発しており, 必ずしも統一的なモデルにより分析を行いえたとはい
えない.
本研究では, ORDECの推定から得られた通話需要発生の分布から通話回数・時
間の発生過程を考察し, 通話行動の理論モデルの構築を試みる.
具体的には, ORDECにより分離された誤差項について検討を行うと, 人口移動
データなどの相互作用では,拡張された負の二項分布にしたがって相互作
用が発生することが報告されている. これらの分布にしたがって相互作用が発
生する場合, 一定の確率過程にしたがっていると考えられる. 人口移動につい
ては, ポアソン過程を発展した, 負の二項分布の過程で発生する仕組みについ
て, 樋口により説明がなされてきた.
電話通話需要についても同様に, 誤差項の検討を進めることでこの発生メカニ
ズムを明らかにする必要があろう.
Various telephone call demand models have been built in the field of economics
and geography. The geographic models focus on telecommunication traffic
patterns, while the economic models focus on gross telecommunication
demands. But they have not been integrated. We study stochastic
process of telephone call with characteristics of the error distribution identified
by ORDEC (Odds Ratio DEComposition) analysis and try to build a behavior model
of telephone calls. Higuchi's study, which uses ORDEC on Japanese inter-prefecture
migration, suggests that migrations take place with the negative binominal
distribution process. Therefore by assuming that telecommunications are generated
by some stochastic process, we apply ORDEC to the Japanese inter-prefecture
telecommunication, and examine error terms to identify characteristics of the
generating stochastic process.